|
放射線治療に対して抵抗性腫瘍、あるいは縮小しても再増殖する腫瘍は、放射線照射時に肉眼的に観察される腫瘍サイズの全体的縮小に比べて、腫瘍細胞数の減少が少なく、DNA損傷が回復しやすい機序や、照射後に増殖が増進される機序が作用している。腫瘍細胞にX線を照射した場合と重粒子線照射を行った場合では、放射線に対する遺伝子変異の出現頻度が異なる。本研究では腫瘍細胞におけるP53の発現と、放射線照射における発現量の変化、およびhprt点変異遺伝子解析から、コロニー法による放射線感受性とアポトーシスの誘導の関連を解析し、遺伝子変異から放射線感受性を再検討することを目的とした。本年度は、各種ヒト悪性腫瘍由来の12種類の培養細胞に対して、単層培養でX線照射を行い、Colony法により放射線感受性を検討した。上記の細胞を用いて、同様に重粒子線に対する感受性を検討した。この結果、ヒト培養細胞間には、X線に対する感受性に3倍以上の差異が見られた。組織型と放射線感受性の関連を検討すると、腺癌由来と扁平上皮癌由来の間に明らかな差異は無く、扁平上皮癌由来細胞でも感受性に大きな差が見られた。一方、重粒子線照射は全ての細胞で殺細胞効果がX線より大きくなった。しかし、細胞毎にRBEは大きく異なり、X線に対する感受性と重粒子線に対する感受性の間には、明らかな相関は見られなかった。
|
