サイコイドーシスでは類上皮細胞の形成に際して活発なリンパ球やマクロファージの遊走が観察され、また近年このマクロファージの変性が病変の遷延化に影響している事が報告されている。^<18>F-FDGや^<11>C-メチオニンは局所の糖・アミノ酸代謝を反映している。一方、リンパ球やマクロファージの遊走にも強く影響されている事が過去の動物実験で報告されている。本研究はサルコイドーシス症例における^<18>F-FDG及び^<11>C-メチオニンの集積と各種臨床所見を比較・検討することにより、サルコイドーシスの活動性・病態評価に対するポジトロン断層撮影(PET)の有用性を評価することを目的に、本検討を行った。本年度はサルコイドーシス初発症例20例に対して、^<18>F-FDG及び^<11>C-メチオニンによるPETを施行した。活動性サルコイドーシス患者では、全例、^<18>F-FDG及び^<11>C-メチオニンが病巣部に集積し、緩解期になると集積は低下あるいは消失し、病態と極めて良好な相関関係を示した。さらに、現在までのところ、治療により緩解を得やすい患者では、^<18>F-FDGの集積が^<11>C-メチオニンより顕著な傾向が見られた。一方、緩解を得にくい患者では^<18>F-FDGに比べて^<11>C-メチオニンの集積が強くかった。したがって、サルコイドーシスの病態あるいは治療効果や予後を推測する上で、両薬剤によるPETは極めて有用である可能性が示唆され、来年度もさらに検討を重ねると共に、他の検査法との比較や関連を検討する予定である。
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