リンパ節腫脹病変をきたす主な病変としては悪性リンパ腫、固形腫瘍のリンパ節転移、炎症性病変が考えられるが、これまで固形腫瘍、炎症性病変、そして悪性リンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫に対するイメージングの報告はほとんどない。本研究では標識リンパ球シンチグラフィの臨床検査法としての有用性を押しひろげるために、まず、リンパ節腫脹病変の鑑別診断、ステージング等に利用することを試みることを目的に検討を行った。本年度は昨年度に引き続き、各種悪性腫瘍患者からリンパ球を採取し、標識後患者に注厨し、ガンマカメラによる撮像からリンパ球動態の検討を行った。非ホジキン病35例とホジキン病4例、炎症性疾患10例、悪性固形腫瘍13例について、腫瘍中へのリンパ球浸潤を検討した。悪性リンパ腫では、従来有効とされているGaシンチグラフィを上回る有効性が示された。また、最大集積を示す時間が、ホジキン病では4時間であったが、非ホジキン病では24時間となり、両者の間に差を認めた。一方、固形腫瘍では13例中1例に陽性像が見られた。炎症性疾患では全例陽性像を示した。このことより、リンパ腫でリンパ球が集積する機序は、リンパ腫の腫瘍性変化を認識して起こる可能性は少ないと考えられた。リンパ腫の炎症性疾患としての性質が、リンパ球の集積から示唆された。
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