研究概要 |
核磁気共鳴イメージング法による放射線照射後の骨粗鬆症増悪の評価:骨の実質細胞および膠原線維変性の定量化 平成9年度の研究として、日本白色雌性家兎を用い、正常対照群として20Gy(電子線)の一回照射を行い、この20Gy照射群の家兎の腰椎の照射部位を核磁気共鳴イメージング(MRI)によって、骨および骨髄における実質細胞、膠原線維および脂肪組成期の変性の定量化を経時的に(照射前および照射後後1か月毎)行った。また同時期に得られた摘出標本の病理所見と比較検討した。 まず、家兎腰椎描出用最適化プログラムを開発し、定量化を行った。最適化プログラムとして、スピンエコー(SE)法、TR=500msec(max=1500,min=500),TE=14msec、slice=3mmの条件を用いた。照射前のT1平均値は415.3msec、照射1週間後のT1平均値は526.6msec、照射2週間後のT1平均値は680.8msec、照射3週間後のT1平均値は851.0msec、照射4週間後のT1平均値は880.8msec、照射5週間後のT1平均値は879.9msecで、照射後3週間後までは徐々にT1値が上昇する傾向にあり、以後はほぼ一定となった。病理組織標本では、照射野内の骨髄で、照射早期の時点から骨髄中の脂肪組織の増加が出現し、また骨髄の細胞成分が減少していた。 今回の結果から、照射早期の時点から出現する骨髄中の脂肪組織の増加と骨髄の細胞成分の減少を核磁気共鳴得イメージング(MRI)によって評価できると考えられた。 平成10年度の研究では卵巣摘出群(またはステロイド投与群)に対して放射線20Gy(電子線)を照射し、骨粗鬆症増悪の機序を明らかにする予定である。
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