研究概要 |
今回我々は、超高速撮像法であるEcho Planner Imaging(EPI)法をfunctional magnetic resonance imaging(fMRI)に応用し、光刺激による大脳皮質視覚野の信号変化を解析した。fMRIにはSIGNA HORIZON 1.5T(GE-YMS)を用い、gradient echo type EPI(GE-EPI;TR/TE3000/50msec,Matrix 128X128,FOV240mm,Thickness 5mm,Flip angle90)を撮像した。鳥距溝を含む1横断面を設定し、1秒ごとに連続306回の撮像(306秒間)を行った。fMRIの刺激に伴う局所脳血流変化の影響を観察する目的で、MRIの拡散強調画像に用いられるmotion proving gradient(MPG,b=0,40,80)を順に加えて撮像した。光刺激の負荷は、checkerboard patternの反転する画像をビデオプロジェクターを用いて検査台に設置したスクリーンに投影し行った。光刺激は30秒ごとに5周期のon,offを繰り返した(1周期60秒)。fMRIの画像処理として、各b値の時経列画像データに対し、時系列に対する周波数解析を行い刺激に同期する周波数成分を有する画像を作成した。また、周波数成分の位相を36分割し、刺激に対する反応性を検討した。 全例で視覚領野での光刺激に同期する信号上昇が確認された。位相画像では、一次視覚領野の中心部から周辺の視覚連合野に広がる信号上昇の位相のずれが描出された。視覚領野での信号上昇はb=0,40,80とMPGを高くするに従って小さくなったが、比較的遅い位相画像にて描出される視覚連合野の信号変化領域は、脳血流上昇に伴う信号変化を抑制するb=80の画像においても残存した。すなわち、視覚刺激に伴う視覚連合野の遅延する信号上昇は、一次視覚領野からの流入効果を以外の局在するblood oxygenation dependent(BOLD)効果を観察しているものと考えられる。
|