時間分解分光測定法により子宮頸癌の光学的パラメータを精度よく測定するために、測定装置の改良・調製を施行した。また、酵素濃度に関する解析方法などの検討も行った。 1.子宮頚部用測定プローブの考案・作製:境界条件により光子の逸脱や迷光を低減させるよう配慮した設計とした。照射用ファイバーと受光用ファイバーの間隔を15mmまたは20mmとして測定用プローブを作製した。2.時間分解分光測定測定装置の改良:測定時間の短縮、測定の簡易化を目標に測定装置を改良した。780nmと830nmのレーザー光を同時照射することによって測定時間の短縮を実現した。また、一定以上の光量が入射した場合、検出器を保護できるよう改良した。3.時間分解分光測定測定装置の調製:(1)再現性の評価:個体ファントムにて再現性を評価した。長時間の使用でなければレーザー光源などのドリフトも問題にならず、子宮頚部の測定に関しては十分な再現性が得られることが確認できた。(2)ファイバー間距離による差異の検討:個体ファントムを使用して検討した結果、ファイバー間距離による測定値の差は問題にならない程度であることが証明された。4.解析方法の検討:(1)時間分解曲線の解析:測定によって得られる時間分解曲線を理論式にフィッテングさせ、光吸収係数や光散乱係数等のパラメータを求めることにした。(2)酸素濃度の解析:散乱体を含んだヘモグロビン溶液の酸素濃度を変化させ、その都度、理論値と測定値を比較する基礎実験を施行した。ここで得られた係数を用いて酸素濃度を算出できるようにした。 以上の研究成果により測定方法を確立し得たため、今後は、本来の研究目的である子宮頸癌の光学的パラメータを測定し、放射線治療効果と比較することにより局所制御の予測因子となり得るか検討するつもりである。
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