研究概要 |
^<201>Tlの生体内での挙動はKと類似しており,腫瘍細胞内へはNa-K ATPポンプにより取り込まれるとされている。一方,高K血症の治療の一つにグルコース・インスリン療法(GI療法)あり,この治療はインスリン・レセプターを介して血液中のKをグルコースと共に細胞内に取り込むものである。今回,このGI療法を^<201>Tl腫瘍シンチグラフィに応用し,腫瘍細胞内へ^<201>Tlの取り込みが変化するか否かを検討した。 実験はWistar系ratの大腿部にWalker-256腫瘍細胞を移植し,腫瘍径が20×20mmの時点で,^<201>Tlのみを投与する群(C群),^<201>T1とインスリンを投与する群(I群),^<201>Tlとグルコースを投与する群(G群),^<201>T1とグルコース・インスリンを投与する群(G&I群)に分け検討した。^<20>TLシンチグラフィは1時間後に撮像し,定量評価として腫瘍と対側健常肢に関心領域(ROI)を設定し,カウント数の比(T/N比)を求めた。T/N比はG&I群,G群,I群,C群の順に高値を示し,G&I群のT/N比は統計学的に他の群より高かった。従って,^<201>T1とグルコース・インスリンを同時に投与することで,腫瘍細胞表面に存在するインスリン・レセプターを介して腫瘍細胞内への^<201>Tlの取り込みは増加した。 今後は同様の実験腫瘍に放射線治療や温熱療法を行い,^<201>Tlのみを投与する対照群と,^<201>Tlと同時にグルコース・インスリンを投与する群に分け,両群間で^<201>Tlシンチグラフィの集積に変化が現れるかを調べ,治療効果判定の有用性を検討する予定である。
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