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1997 年度 実績報告書

情動と記憶障害におけるcAMPシグナルカスケードの役割

研究課題

研究課題/領域番号 09770751
研究機関札幌医科大学

研究代表者

小澤 寛樹  札幌医科大学, 医学部, 助手 (50260766)

キーワード気分障害 / アルツハイマー病 / アデニル酸シクラーゼ / ホスホリハ-ゼC / カルシウム / フォルスコリン / ヒト死後脳 / 行動薬理
研究概要

情動(うつ病)及び記憶障害(アルツハイマー病)における共通の分子生化学的基盤としてのcAMP生成変化の意義を解明するためヒト死後脳を用いてcAMPの産生酵素であるアデニル酸シクラーゼ(AC)の機能と量を検索した。さらにcAMPを調節しうる細胞内情報伝達系に直接作用する薬剤(フォルスコリン誘導体)から新しい抗うつ薬並びに抗痴呆薬の探索を行った。
代表的情動障害であるうつ病の死後脳前頭葉において(1)Ca^<2+>/CaM非感受性アデニル酸シクラーゼ(AC)によるcAMP産生系の低下,(2)5-HT応答性ホスホリパーゼC系の亢進及び(3)Ca^<2+>/CaM感受性ACによるcAMP産生系の亢進という複数のセカンドメッセンジャー系の不均衡が関与していることが推察された.また記憶障害疾患であるアルツハイマー病脳においてはCa^<2+>/CaM感受性ACによるcAMP産生系の低下,とくにACの1型の量的低下していることを明らかにした。
さらにACを直接活性化するフォルスコリンが強制水泳実験により抗うつ効果,低酸素(CO)負荷による痴呆動物モデルにおいて抗痴呆効果,さらに神経培養細胞においてアミロイドの神経変性に対する拮抗作用を有していることを示した。
以上より情動及び記憶などヒト脳高次機能においてcAMPシグナルカスケードが重要な役割をもっていること,また行動薬理学的検討からcAMP量を増強する薬剤に新たな抗うつ薬・抗痴呆薬として可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Odagaki,Y.: "Measurement of receptor-mediated functional activation of G proteins in postmortem human brain membranes." Brain Res.(in press).

  • [文献書誌] Saito,T.: "Differential effects of chronic administration with amitriptyline and rolipram on adenylate cyclase activity" Jap.J.Psychopharmacology. (in press).

  • [文献書誌] 山口高史: "脳情報伝達系からみた感情障害の病態と新規抗うつ薬の探索" 精神薬療基金年報. (印刷中).

  • [文献書誌] Maeda,H.: "Potential antidepressant properties of forskolin and a novel water-soluble forskolin(NKH477)in the forced swimming test." Life Sci.61. 2435-2442 (1997)

  • [文献書誌] Yamamoto,M.: "Ca^<2+>/CaM-sensitive adenylyl cyclase activity is decreased in the Alzheimer's brain:Possible relation to type 1 adenylyl cyclase." J.Neural.Transm.104. 721-732 (1997)

  • [文献書誌] 小澤寛樹: "アデニル酸シクラーゼ系を中心とした血小板の細胞内情報伝達機構" 神経精神薬理. 19. 863-873 (1997)

  • [文献書誌] Ozawa H.: "Signal Transduction in Affective Disorders" Springer-Verlag,Tokyo;, 18 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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