抗うつ薬長期投与、電気痙攣療法が、中枢神経細胞内信号伝達系に及ぼす影響を調査する目的で、実験動物としてラットを用いて以下の研究を施行した。 1) PDE(phosphodiesterase)タイプIV各アイソザイム(PDE IV-A、-B、-C、-D)転写物の脳内分布の観察をin situ hybridizationを使用して行った。 2) 急性および慢性電気痙攣・イミプラミン投与によるこれらアイソザイムの転写調節の観察をin situ hybridizationおよびノザンブロットを使用して行った。 3) 急性および慢性電気痙攣・イミプラミン投与によるPDE IV活性の変動を液体クロマトグラフィーを使用して行った。 以上の研究によって以下の事実が明らかとなった。 1) 急性電気痙攣誘発によってラット脳内で広くPDE-IV転写が亢進するが、翻訳量の亢進は観察されない。 2) 慢性電気痙攣あるいは慢性イミプラミン投与によって、ラット前頭部位での翻訳量の亢進が観察される。 3) 上記翻訳量の亢進は、長期にわたるPDE IV-Bの転写亢進と相関していた。 なお、研究には都立保健科学大学教授須田治彦、自治医科大学教授石黒健夫、同レジデント須田史朗が脇力し、研究成果は連名でJournal of Neurochmistry誌に発表した.
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