研究概要 |
抗精神病薬の副作用の一つである、遅発性ジスキネジア(TD)の原因は不明とされているが、我々は、活性酸素除去酵素の一つであるsuperoxide dismutase(SOD)の活性が、TDの認められない患者群と比較して、TDの認められる患者群において有意に低値であることを発見した。これを元に、本研究では、入院もしくは外来にて治療中の、長期間にわたり抗精神病薬を服用している精神分裂病患者のうちで、Schooler&Kane(1982年)の診断基準を満たすTDが認められる患者群(TD群)と、年齢・性・治療歴などをマッチングさせたTDが認められない患者群(非TD群)とから、各々の患者の同意を得た上で15ml程度の血液を採取し、赤血球中のSOD活性を亜硝酸法(Oyanagui,1984年)を用いて測定して、その差を比較検討した。現段階においての結果では、各群でそれぞれ10例分の症例を集め、赤血球中のSOD活性を測定した結果、両群間に有意差は認めていない。しかし、今後さらに、測定検体数が増える予定であるので、両群間に差がみられる可能性がある。 次年度(平成10年度)は、さらなる症例における赤血球中のSOD活性を測定するほか、採血した血液を用いて、赤血球中のSODの定量や、幾つかの神経疾患において変異が知られているSOD1遺伝子の多型性について、RFLP(restriction fragment length polymorphism)などの手法を用いての多型性解析も行う予定である。
|