培養血管内皮細胞をinsulin・EGF・IGF-1にて刺激したところ、刺激後に核内NF-κB量の増加を認めた(細胞の核分画に対するelectrophoretic mobility gel shift assayにより測定)。また、insulin+高濃度ブドウ糖はinsulin単独よりもさらにNF-κBの核内への移行を促進した。H7(PKC inhibitor)はこのNF-κBの核内への移行を抑制したことより、高濃度ブドウ糖による効果はPKCを介しているものと考えられた。insulin・EGF・IGF-1による核内NF-κB量の増加はMAPK/ERK inhibitorであるPD98059にて減少したことにより、MAPKがNF-κBの活性化(遊離および核内移行)に関与している可能性が示唆された。Insulinはfocal adhesion kinase(FAK)の脱リン酸化をおこすが、これもPD98059により抑制された。Integrin→FAKのシグナリング経路がNF-κBの活性化に影響するとの報告もあり、今後はMAPKを介するシグナルあるいはintegrin→FAKを介するシグナル、およびその両者がいかにNF-κB/lκB複合体のlκBをリン酸化・分解し、遊離したNF-κBが核内へ移行することに関与するかを詳細に検討していく予定でる。
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