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1998 年度 実績報告書

甲状腺ホルモン受容体の基礎転写活性抑制機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09770782
研究機関浜松医科大学

研究代表者

西山 孝三  浜松医科大学, 医学部, 助手 (50273181)

キーワード甲状腺ホルモン受容体(TR) / サイレンシング作用 / レチノイドX受容体(RXR) / コンプレッサー蛋白 / 甲状腺ホルモン不応症
研究概要

甲状腺ホルモン受容体(TR)は、T3非存在下では標的遺伝子の基礎転写活性を抑制するサイレンシング作用を示す。TRのサイレンシング作用の発揮には、コレプレッサー蛋白など複数の核内蛋白が関与する。機能的TRであるTRβ1とTRα1のC端約40個のアミノ酸は完全に一致しており、C末端には最小17個のアミノ酸よりなる転写活性化能を有するAF2ドメインが存在する。今回の研究では、甲状腺ホルモン不応症で発見されたC端11個のアミノ酸を欠失した異常TRβ1(βF451X)とC端13個のアミノ酸を欠失したβE449X、さらにβF451XやβE449Xと相同なC端欠失を有するよう作成した異常TRα1(αF397XとαE395X)を用いて、サイレンシング作用におけるTRβ1とα1のAF2ドメインの役割をレチノイドX受容体(RXR)やコレプレッサー蛋白(SMRT、N-CoR)との相互作用の点から解析した。 1.種々のC端欠失異常TRβ1とα1のサイレンシング作用の比較:βF451Xは、direct repeatやpalindromic repeatといったT3応答領域(TRE)において正常TRβ1よりも強いサイレンシング作用を示したが、βE449Xのそれは正常TRβ1と同程度であった。一方、αF397XとαE395Xは、共に正常TRα1よりも強いサイレンシング作用を示した。2.RXRに対する結合親和性の比較:Gal4-RXRとVP16-TRβ1の結合を競合阻害するtwo-hybrid assay系において、βF451Xは正常TRβ1に比し有意に強いRXRとの結合能を示したが、βE449Xのそれは正常TRβ1よりも弱かった。一方、正常TRα1、αF397X、αE395Xの間にRXRとの結合親和性に関して有意な差を認めなかった。3.SMRTに対する結合親和性の比較:Gal4-SMRTとVP16-TRβ1を用いた系において、βF451Xは正常TRβ1やβE449Xよりも有意に強い結合親和性を示したが、正常TRα1、αF397X、aE395Xの間に有意な差を認めなかった。4.N-CoRに対する結合親和性の比較:Gal4-N-CoRとVP16-TRβ1を用いた系において、βE449Xは正常TRβ1やβF451Xに比し、また、αE395Xは正常TRα1やαF397Xに比して有意に弱い結合親和性を示した。以上より、TRβ1のAF2ドメインのC末端11個と13個の欠失ではRXRやコレプレッサー蛋白との結合に対する影響が異なること、TRβ1とα1でAF2ドメインの破壊によるサイレンシング作用への影響が異なることが示唆された。正常およびC端欠失異常TRβ1のサイレンシング作用の強さは、コレプレッサーSMRTとの結合能に相関したが、正常およびC端欠失異常TRα1のサイレンシング作用は、RXRやコレプレッサーSMRT、N-CoRとの結合性に相関せず他の要因が関与することが推測された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 西山孝三、中村浩淑: "甲状腺ホルモンの作用機序の新しい展開" 内分泌・糖尿病科(科学評論社). 7(1). 17-24 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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