1) NIDDMのモデルラットであるOLETFラットにおいてTroglitazoneを10日間経口投与し、脂肪細胞のGLUT4の蛋白、RNAの発現を検討した。RNAについては、Troglitazone非投与のOLETFラット{OLETF(T-)ラット}では、対照のTroglitazone非投与のLETOラットと比較し、約50%の低下を認めた。Troglitazone投与のOLETFラット{OLETF(T+)ラット}では、OLETF(T-)ラットに比較し、約50%の発現の上昇を認めた。GLUT4蛋白についても、脂肪組織よりcrude membraneを採取し、ウエスタンブロット法により蛋白量を検討し、同様の結果であった。更に、3-O-MethylglucoseのとりこみもOLETF(T+)ラットはOLETF(T-)ラットに比較し約1.5-2倍の上昇を示した。以上より、TroglitazoneによるGLUT4の発現の改善が認められ、今後、Troglitazoneによるこれらの蛋白への発現の機構と、TNF-αとの関係を培養細胞を使用し、検討する必要があると考える。 2) 肥満、非肥満NIDDM患者を対象に血清TNF-αとグルコースクランプ法によるインスリン抵抗性及び、内臓脂肪蓄積量との関係を検討し、肥満NIDDM患者では血清TNF-αは有意に高値で、インスリン抵抗性(M値)とは負の相関、内臓脂肪量とは正の相関を示し、血清TNF-αのインスリン抵抗性及び、内臓脂肪蓄積の関与が示唆された。更にin vitroではTNF-αの産生を抑制するTroglitazoneを肥満NIDDM患者に投与したところ、4週後より血糖の改善と共に血清TNF-αの低下を認め、肥満NIDDM患者でのTNF-αのインスリン抵抗性への関与が示唆され、TroglitazoneによるTNF-αの抑制の可能性が示唆された。
|