研究概要 |
培養ウシ大動脈由来血管平滑筋細胞(BVSMC)を用いて活性型ビタミンD(1,25(OH)_2D_3)の血管石灰化に対する影響について検討した。 1)1,25(OH)_2D_3はBVSMCによるin vitroでの石灰化を10^<-9>〜10^<-7>Mの範囲で用量依存的に増加させた。 2)1,25(OH)_2D_3はBVSMCにおけるアルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性を10^<-10>〜10^<-7>Mの範囲で用量依存的に増加させた。 3)1,25(OH)_2D_3はBVSMCによる副甲状腺モルモン関連ペプチド(PTHrP)の分泌を用量依存的(10^<-10>〜10^<-7>M)に減少させた。 4)1,25(OH)_2D_3はBVSMCにおけるPTHrPの遺伝子発現を低下させると共に石灰化に関与するオステオポンチン(OPN)遺伝子の発現を増加させた(10^<-10>〜10^<-7>M)。 5)1,25(OH)_2D_3の石灰化促進作用はヒトPTHrP(1-34)の添加により用量依存的に阻害され(10^<-10>〜10^<-7>M)、10^<-7>MのヒトPTHrP(1-34)により1,25(OH)_2D_3の石灰化促進作用は完全に抑制された。 以上の結果から1,25(OH)_2D_3はBVSMCにおけるPTHrP(内因性の石灰化抑制因子)の発現を抑制することにより石灰化を促進することが示唆された。また、1,25(OH)_2D_3の石灰化促進作用の一部はBVSMCにおけるALP活性およびOPN遺伝子の発現を増加させることによると考えられた。
|