我々は既に、脂肪組織より分泌されるレプチンが主に視床下部弓状核(Arc)に作用することにより、摂食量と体重増加の抑制をもたらすことを示してきた。Arcに存在するPOMCニューロンにはレプチン受容体が存在し、レシチンによりPOMC遺伝子発現が増加することが報告されている。今回、我々はレプチンの視床下部経路におけるメラノコルチン系の意義を明らかにするために、α-MSHの拮抗薬SHU9119を用いてレプチンの摂食量と体重増加抑制作用に及ぼす効果を検討した。8週齢の雄性SDラットの側脳室内カニューレより、夜間SHU9119(0.01〜0.1mg)を投与し、20分後に人工脳脊髄液(aCSF)又はα-MSH10mgを投与し、3時間後の摂食量と体重増加の変化を測定したSHU91190.1mgの側脳室内投与により、α-MSHの摂食量と体重増加抑制作用はいずれも完全に遮断されることを確認した。次に、SHU91190.1mgの投与20分後に、aCSF又はレプチン2mgを投与した。投与3時間後、SHU9119の側脳室内投与により、用量依存性にレプチンの摂食量と体量増加抑制作用が減弱されており、0.1mg投与により、いずれも完全に遮断された。又、ノーザンプロット法においてレプチンの投与3時間後によるBATにおけるUCP-1mRNAの発現亢進効果が、SHU9119投与により完全に遮断された。以上により、レプチンの摂食抑制及び交感神経活動冗進作用がMC4-Rを介する可能性が証明された。
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