研究概要 |
以下に述べるように、1年目の到達目標をほぼ達成し、引き続き実験を継続中である。 Protein Zは肝細胞で産生されるビタミンK依存性の血漿蛋白質である。機能は未だ不明であるが、その欠損症は出血症状を呈する。我々はヒトProtein Zのアミノ酸配列分析とcDNAのクローニングによりその一次構造を解明したので、本研究ではその遺伝子の構造と染色体座位の決定を目的とした。 ビタミンK依存性蛋白質の遺伝子ファミリーのexon/intron構造を参考に作製したプライマーで正常人のgenomic DNAを増幅したところ、intronFに相当する部位以外全てのDNA断片が得られたので、Protein Z遺伝子はexon 1bを含む9つのexonから構成されると推定された。intronFと5'-,3'-領域を得るためにcDNAを用いてヒト肺線維芽細胞由来のgenomic libraryをスクリーニングしたところ、2つのクローンが得られた。これらの各種の制限酵素で切断した遺伝子地図を作成し、DNA断片の塩基配列を解析した結果、intronFを含む全長約14kbの遺伝子構造が確立された。ヒト・ハムスターハイブリッド細胞のDNAパネルを特異的なプライマーで増幅することによりヒトProtein Z遺伝子が第13染色体に存在すること、cDNAプローブを用いたFISH法によりその座位はq34であることが判明した。Protein Z遺伝子は、遺伝子ファミリーに属する凝固第Vll.X因子と同じ第13染色体に存在するのみならず同じ座位に位置するので両遺伝子と隣接している可能性がある。intronのサイズは異なるが、その遺伝子構造は、(ユニークなexon 1bを除けば)遺伝子ファミリーのそれと共通である。
|