本年度は、エリスのポエチン遺伝子のプロモーター領域の解析を行なった。また、低酸素状態において誘導される遺伝子群を、mRNA Differential Display法により、クローニングし、塩基配列を決定した。 多くの遺伝子のプロモーター領域の-30baseの領域にはTATA Boxがあり、TATA-Binding Protein(TBP)という基本転写因子が結合し、ある一定レベルの転写が常に起こっている。しかし、エリスロポエチン遺伝子は正常状態で転写活性が抑制されている。その原因として、-30baseの領域がTATA BoxではなくGATA Motifになっているために、TBPが結合しにくくなっており、TBPのかわりに、複雑のGATA-TFが結合していることによって正常状態での転写活性が弱くなっているものと考えられた。ただし、このような突然変異はまだ報告がない。 また、低酸素状態において、誘導される遺伝子を約200種類クローニングした。塩基配列を決定し、Honolosy Searchを行なった結果、約20種類の新規の遺伝子がみつかった。現在、cDNA全長のクローニングを行なっている。
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