研究概要 |
最近、TPO transgenic mouseで骨形成が促進していることが報告されていることから、Thrombopoietin(TPO)の巨核球系前駆細胞以外の細胞に対する作用、特に、破骨細胞の分化に対する影響を検討した。 方法はC3H/HeNマウスより非付着性骨髄細胞を採取し,骨髄間質細胞株(ST2)と1,25(OH)2D3及びdexamethasone存在下で共培養し、破骨細胞を分化誘導し、TPO添加による影響を検討した。TPOは酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ陽性多核細胞数を用量依存性に低下させた。次に、TPOが破骨細胞の分化のどの時期に作用するかを評価するため、培養開始時、培養4日目、7日目からTPOを添加したところ、培養開始時から添加した場合のみ有意な抑制効果が認められた。また、この抑制効果は抗TPO抗体の同時添加により阻害された。破骨細胞の骨吸収能に対する影響を検討するため、上記共培養をウシ大腿骨から作成した骨薄片で行った後、トルイジンブルー染色を施行し、吸収窩を観察した。TPO添加群では吸収窩の数及び面積が減少した。これらの作用が血小板産生刺激による間接作用の可能性について、血小板より産生されるTransforming growth factor(TGF)-β、Platelete derived growth factor(PDGF)について検討した。破骨細胞培養系にTPOとともにTGF-β、PDGFの中和抗体を添加したところ、TPOの破骨細胞分化抑制効果が低下した。さらに、TGF-β、PDGFは破骨細胞分化を用量依存的に抑制した。以上より、TPOはTGF-β、PDGを介して破骨細胞の分化誘導を初期の分化段階において形態的にも機能的にも抑制すると考えられた。
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