研究概要 |
トロンボポエチンとエリスロポエチンのシグナル伝達クロストーク 造血因子トロンボポエチン(TPO)が赤芽球分化を誘導することを示唆する所見が、これまでに数施設から報告されているが、その詳細な分子機構は明らかにされていなかった。我々は、TPOで巨核球分化が誘導できるヒト白血病細胞株UT-7/EPO-Mplおよびそのdeletion mutantシリーズ細胞株(Takatoku,et.al.,J.Biol.Chem.1997)を作成し、TPOシグナルがどのようなシグナル機構で赤芽球分化を誘導できるか検討を行った。 その結果、TPOはその受容体(c-Mpl)を介して赤芽球分化を誘導することが明らかになった。次にc-Mplの詳細な細胞内シグナル伝達機構をc-Mpl deletion mutantを用いて解析したところ、c-Mpl細胞内領域のBox2部位が赤芽球分化に必須であることが分かった。そしてBox2部位を介しTPO依存性にJak2が活性化され、エリスロポエチン受容体(EPOR)に活性化Jak2が会合し、TPOによる赤芽球分化を誘導していることを明らかにした。さらに、TPOによる赤芽球分化にはc-Mpl以外にEPORの発現が必要なのかどうかを、マウス白血病細胞株Ba/F3を用いて検討した。その結果Ba/F3にc-MplおよびEPORの両者が発現したときに、TPOによる赤芽球分化が強く誘導され、TPO依存性の赤芽球分化にはEPORの発現が重要であることを明らかにした(Takatoku,et.al.submit)。
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