1.PU.1蛋白質と相互作用する新たなる蛋白質の単離・同定 酵母を用いたTwo-hybrid法によりPU.1蛋白質に相互作用する未知の蛋白質をコードする遺伝子の単離・同定を行った。3.9×10^6のcDNAをスクリーニングしたところ、6つの陽性クローンを得た。その中の1つはTranscriptional coactivatorとして働くCBP(CREB binding protein)と同一であった。GST pull down assayでPU.1蛋白質との結合を確認し、その結合部位も同定した。PU.1側の結合部位はActivation domainであり、CBP側の結合部位はZn fingerを含むC末側であった。Estがん遺伝子ファミリーに属する転写因子の中にはCBPと相互作用するものがあることが知られている。今後、Luciferase assayによる機能解析によりCBPがPU.1の転写のcoactivatorとして働くこと確認すると共に、細胞増殖、分化、アポトーシスとの相関を検討する。 ヒト赤白血病細胞株K562におけるPU.1/spi-1遺伝子の増殖、分化における役割 メタロチオネインプロモーターの支配下においたPU.1遺伝子を導入したK562細胞を樹立し、PU.1遺伝子の細胞増殖における機能を解析した。その結果、PU.1遺伝子の過剰発現は増殖の抑制をもたらし、さらにHeminにより赤血球系へ分化誘導を行うとアポトーシスへといたることがわかった。またPU.1遺伝子の過剰発現によるアポトーシスは30%血清下で回避された。以上の結果より、K562細胞においてもPU.1過剰発現によって細胞増殖の抑制、アポトーシスが認められ、ヒト赤白血病細胞の増殖におけるPU.1の関わりが示唆された。
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