低カリウム血症時において近位尿細管管腔側のNa/H antiporter活性の亢進が指摘されているが、そのメカニズムは不明である。OKP細胞には近位尿細管管腔側上皮と同様のNa/H antiporter(NHE3)が発現している。そこで今回の研究ではOKP細胞を用い低カリウムの影響を検討し以下の結果を得たため、研究論文を執筆し、現在印刷中である。 結果:細胞外低カリウムは細胞内酸性化を通して3つの順序でNHE3を活性化するものと考えられた。1時間以内の早期には、チロシンキナーゼ非依存性の機能的な活性化。8時間の中期には、チロシンキナーゼ依存性、NHE3蛋白・mRNA合成を伴わない活性化。24時間の慢性期では、チロシンキナーゼ依存性NHE3蛋白・mRNA合成を伴う活性化である。 考察:酸塩基平衡の病態生理を理解するために、今後は低カリウムによる細胞内酸性化のメカニズムの検討やNHE3活性亢進機序のさらなる検討が重要であると考えられた。 当初より、蛋白の細胞内輸送の検討を予定していた。8時間目において、小胞輸送阻害薬であるGTPγsにより活性亢進が阻害され、細胞表面膜上のNHE3増加が確認されたため、NHE3蛋白の細胞内移動が関与していると考えられるが、さらに詳細な検討が必要であるため今回の研究論文からは除外した。
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