ネフローゼ症候群に伴う高脂血症患者においても原発性高脂血症患者と同様の血管内皮機能異常が存在するか? もしそうであるなら、LDし-アフェレーシスによる脂質除去は内皮機能異常を改善させるか? LDL-アフェレーシスはネフローゼ症候群による腎傷害の進展を抑制するか? という3つの疑問に応えるべく以下の検討を行った。ネフローゼ症候群のため精査目的のため入院した三次性高脂血症を有する患者6名を対象に腎生検前且つネフローゼ症候群の治療前に単回のLDL-アフェレーシスを行い、その前日と翌日にチオ硫酸ナトリウム及びパラアミノ馬尿酸により腎クリアランス試験を、又直前直後に内皮機能の指標として反応性充血時の血流依存性血管拡張反応をた高解像度超音波診断装置を用いて評価し脂質プロフィールと併せて施行した。その結果、家族性高脂血症の際見られたような単回のLDL-アフェレーシスによる劇的な内皮機能の改善は認められず腎機能にも大きな変化は見られなかった。その理由として、(1)ネフローゼ症候群が非常にheterogenousな病態であるために全体の傾向が捉えられなかったこと。(2)内皮機能を著明に低下させることが知られているステロイドが既に全例で投与されていたこと。(3)前回は前腕抵抗血管床の内皮機能を検討したが今回は前腕導管血管機能を評価していることから、血管床による反応の違いの3つが考えられる。今後、症例を限定して同様の結果が得られるか否かについて検討したい。
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