連続波長を用いた近赤外光測定装置を用いて、ICG投与後における肝臓内のスペクトルを皮膚表面より経時的に測定し、肝臓組織内におけるICGの濃度を直接的に評価することにより、効果的に分泌能などを含めた肝機能の評価が可能であると考えられる。このため、受光部を2箇所とした近赤外分光測定装置を利用して、肝臓の特異的なスペクトルが測定可能であるか否についての基礎的な検討を行なった。閉塞性黄疸をきたした新生児を対象とし、ICG検査時に測定を行なった。近赤外線領域の連続スペクトル測定での肝臓内のスペクトルの測定は、LMUC-7000(大塚電子社製)を使用し、3本の光ファイバーを用いて、620-900nmの連続スペクトルを多ポイント化によって測定した。同時に皮膚の反射スペクトルの測定を、MCPD-1000(大塚電子社製)を使用してY型ファイバーを用いて測定した。この結果、肝臓内と皮膚におけるICGの動態に差異を認め、ICGの肝臓内での集積率と排出率を、ICGの吸光度の増加相と減少相で評価が可能性が示された。 今年度は新生仔豚を対象として、脳内ICGの動態を測定し増加相と減少相の速度定数の算出を行なった結果、増加相は主に動脈相と減少相は主に静脈相を反映していることを証明したため、ICGの肝臓内での集積率と排出率は、ICGの吸光度の増加相と減少相の速度定数により評価が可能であることを証明し、さらに血中消失率との比較検討や対照群と比較を行なう予定である。
|