1985年から1996年の11年間に北里大学病院で出生した正期産高度IUGR児(出生体重が平均-2.5SD未満の子宮内発育遅延児)110例を対象とし、IUGRの成因、その後の身体発育、精神運動発達に関して、カルテおよび両親へのアンケート調査をもとに検討した。その結果、IUGRの成因が胎児因子(染色体異常、多発奇形症候群など)は13例、多児は17例、母体、胎盤及び臍胎因子は47例、原因不明が33例であった。死亡例は8例で全例胎児因子が原因であった。基礎疾患を認めない単胎の正期産高度IUGR児では、新生児期に合併症は認めず、その後の身体発育は93.8%が-2.0SD以上にcatch upしていた。しかし、今回調査し得た年齢では、平均に達する症例は少なかった。また、精神運動発達に関しては津守、稲毛式乳幼児精神発達質問紙を用いて調査したが、1例のみ境界例で、95.7%は正常発達と評価された。(以上の内容については第42回日本未熟児新生児学会-1997/11/29-で発表した。)今年度調査し得た年齢は一定でないため、今後もアンケート調査を続け、最終身長や学業成績及び社会適応を含めて再評価したいと考えている。なお、身体発育と関連した骨発育評価のための骨密度測定についてはIUGR児、正常児ともに測定し得た症例数が少なく、比較検討するレベルにまだ達していない。来年度症例数を増やした上で、また、月齢毎のフォローを重ねたうえで検討したい。
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