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1998 年度 実績報告書

ヒト中枢神経系の発生異常におけるアポトーシス関連遺伝子の分子病理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09770876
研究機関国立精神・神経センター

研究代表者

伊藤 雅之  国立精神・神経センター, 疾病研究第2部, 研究員 (50243407)

キーワードアポトーシス / 脳循環障害 / 邸酸素性虚血性脳症 / 橋鈎状回壊死
研究概要

研究は研究実施計画に沿って行い、ヒト中枢神経系の発達異常におけるアポトーシス発現を検索した。検索した対象は、周産期に多くみられる低酸素性虚血性脳症(HIE)と橋鈎状回壊死(PSN)とし、標本材料は我々の施設にある脳バンクを利用した。
HIEあるいはPSNと診断された在胎21週から生後3ヶ月の小脳および脳幹部を用い、ヘマトキシリン・エオシン染色、in situ tailing reaction法により、アポトーシスの組織形態学的評価を行った。また、Bcl-2、Bcl-x、Bak、CPP32、GFAPの各抗体による組織学的検索およびWestern blotによる評価を行った。
その結果、HIEでは、アポトーシスの変化は在胎21週から30週の未熟かつ重症仮死例かつ受傷後1日から2日の症例に多く観察された。また、Bcl-2とCPP32の過剰発現が観察された。PSNでは、アポトーシスの変化は在胎21週から25週の未熟児出生で、生存期間が1日から4日以内の症例に多く観察された。また、Bcl-xとBak、CPP32の過剰発現をみとめたが、BCl-2の発現には変化がなかった。
これらの結果から以下のことが考察された。1.HIEやPSNの病態形成にアポトーシスが関与し、bcl-2familyやcaspaseがその役割を担っていること。2.未熟脳ほどアポトーシスに陥りやすいこと。3.病態の違いによってアポトーシスに関わる因子が異なっていること。
前年度の研究から、ヒト脳の発達過程においてアポトーシスが関与していることがわかっている。発達期脳循環障害においてもアポトーシスが関与をしていることが推察された。今後、これらの違いを明らかにし、分子遺伝学的解析を加え、周産期脳循環障害におけるアポトーシスの機構を明らかにすることが、病態解明とその予防に重要である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Inage Y.W.,Itoh M.Wada K.Takashima S:"Expression of two glutamate transporters, GLAST and EAAT4, in the human cerebellum:their correlation in development and neonatal hypoxic-ischemic damage" J of Neuropathology and Experimental Neurology. 57. 554-562 (1998)

  • [文献書誌] 伊藤雅之,稲毛祐基子,和田圭司,高嶋幸男: "ヒ小脳におけるグルタミン酸トランスポーターの発達組織学的研究" 第39回日本神経病理学会,.

  • [文献書誌] 斉藤 俊,伊藤雅之,高嶋幸男: "胎児・新生児低酸素性虚血性脳病変発生におけるグルタミン酸トランスポーターGLT-発現の動態と意義" 第40回日本小児神経学会.

  • [文献書誌] 稲毛祐基子,伊藤雅之,高嶋幸男: "新生児低酸素性虚血性脳障害の発症機序におけるグルタミン酸レセプターおよびトランスポーターの役割" 第34回日本新生児学会,.

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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