研究概要 |
当大学現有設備である60Co照射装置(RCR-120-C3,東芝)の使用方法を熟練した後,ニュージーランド白色ウサギの耳介中間動脈を用い、60Co照射後における,血管収縮反応と血管内皮依存性弛緩反応および内皮非依存性弛緩反応の変化について検討した。照射野は10×10cmの耳介表面とし,照射距離はSource-skin distance 55cmに設定し,1.25meVのガンマ線を照射した。照射線量は10Gy,20Gy,45Gyの3群に分け,さらに,10Gy照射後1週目,20Gy照射後1週間,45Gy照射直後,1週,4週,6週及び10週目の各グループに分けた。Norepinephrine(NE)により惹起される収縮反応,およびAcetylcholine(ACh),Calcium ionophore A23187(A23187),Sodium nitroprusside(SNP)投与後に生じる血管弛緩反応を各群において比較検討した。60Coを照射した後,NEによる血管収縮反応は各グループに有意な変化がなかった。一方,血管弛緩反応では内皮依存性弛緩反応が低下し,この変化は照射線量依存性と照射後経過時間依存性であることが認められた。しかし,SNPによる内皮非依存性弛緩反応は45Gy照射後のグループにおいて6週目まで有意な変化がなかったが,10週目には低下した。 以上の結果は,照射後内皮細胞障害によるEndothelium-derived relaxing factors(EDRFs)産生の異常,および内膜の肥厚など血管構築の異常によるEDRFsの血管平滑筋への伝達障害などの機構が原因と考えられた。
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