研究概要 |
1.腹膜炎モデルラットをcecum ligation and punctureの方法により作成し,ラットの肝を経時的に摘出した。肝よりRNAを抽出し,2種類のHO, HO-1, HO-2のcDNAを東北大学応用生理学教室(柴原教授)より供与を受け,これをプローブとしてノーザンブロット法を行い,腹膜炎モデルの肝臓ではHO-1mRNAの発現が著明に上昇していることを明らかにした.さらにHO-1に対する抗血清による免疫化学組織法により、肝臓では,Kupffer細胞にまずHO-1の発現が誘導され,次いで約12時間後より肝実質細胞に発現してくることを明らかにした。 2.Heme oxygenaseにより誘導されたCOにより増加すると考えられているcylclic GMPを定量した。腹膜炎モデルラットの肝臓のホモジネート中では,heme oxygenaseの誘導と相関して,cyclic GMP増加していることを明らかにした。 3.腹膜炎モデルの作製の18時間前にheme oxygenase inhibitor (Sn protoporphyrin-9)を前投与し、その後cecum ligation and punctreを施行したラットを作成した。これらのラットの肝障害の程度をAST, ALT, LDHを指標に評価したところ,約0.5μmol/kg body weightから5μmol/kg body weightの濃度のSn protoporphyrin-9を投与した際にのみ,肝細胞障害が軽減することを明らかにした。
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