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小腸移植時の神経系の再生・再構築におけるNGFの役割を検討すべく、小腸移植時に移植小腸で産生されるNGFの動態を測定した。
実験方法は、体重250〜300gのLewis(RT1^1)ラットの全小腸を摘出、摘出直後(対照値)ならびにラクトリンゲル液中での冷保存24時間まで、消化管NGF量を測定した。次に、摘出した小腸を同系ラットに保存時間をおかず同所性に移植し、移植後12時間、1、3、7、14、28日までの消化管NGFの測定を行った。NGFの定量は、ベーリンガーマンハイム社の抗NGFモノクローナル抗体を用いたtwo site enzyme immunoassayによった。
摘出小腸全体を口側から上部、中部、下部に3等分し、NGF量を測定したところ、各13.6±2.8、13.4±3.0、10.3±3.2pg/mg proteinと下部で少なかったが、有意差はなかった。冷ラクトリンゲル液中の保存では、NGF量には変化を認めず、保存24時間後に小腸中部で10.4±3.4と対照値よりも減少したが、有意差はなかった。一方、同系移植後の小腸中部のNGF量は、12時間後40.3±6.2、1日後52.3±12.2、3日後84.7±7.2、7日後44.2.3±4.8、14日後22.8±6.2、28日後16.2±3.8pg/mg proteinであった。すなわち、移植後NGFは有意に増加し、3日後に正常の6.3倍と最高値をとり、その後徐々に減少したが、28日目にもなお正常値の1.2倍と高値を持続した。
以上から、小腸移植後には移植直後から1カ月まで、消化管で産生される内因性NGFが増加することが明らかになった。同種移植の場合や拒絶反応の有無によってこの変化がどのように異なるのかを今後検討する。
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