1.融合タンパクの合成・精製 ヒトEGF-cDNAのN末端とヒトRNase-cDNAのC末端部分を結合させ発現ベクターに組み込んだプラスミド(pRNEGF1)を大腸菌BL21DE3株に導入したのち、この大腸菌を大量培養し、細胞内封入体として融合タンパクを取り出した。このままでは蛋白質は変性された状態であり、これに続いて蛋白質の立体構造を再生するリフォールディングの操作を行った。精製の方法を検討した結果、グアニジン塩酸塩を用いて可溶化し、これを急激に希釈する方法が、もっともリフォールディングの効率がよかった。またその後の精製法としては、ヘパリンカラムによるアフィニティクロマトグラフィを用いるのがもっとも効率が良かった。以上のプロトコールで2リットルの培養大腸菌より2〜8mgの組換えタンパクを得られるようになった。しかし、ゲル濾過による脱塩の処理を行うとタンパクが析出してしまうことがわかり、このステップの改善が現在の課題である。 in vitroモデルにおける検討 ラットおよびウサギの大動脈よりout growth法および酵素分散法により平滑筋細胞を培養した。ラット大動脈より血管平滑筋細胞を採取し、out growth法の場合中膜組織のみを剥離してシャーレで培養、酵素分散法の場合コラゲナーゼおよびトリプシンで処理し同様に培養した。栄養型平滑筋のモデルとしてout growth法で得た3〜5代目、収縮型平滑筋のモデルとして酵素分散法で得た1代目を用い、96well plateで培養を行い、濃度を変えてタンパクを加えた。上記の如く脱塩過程でタンパクが不安定になるため、不完全な脱塩のままの添加を試みてみたが、高塩濃度の悪影響があり、正確な知見が得られなかった。現在バッファーの条件を変えて再検討中である。またウサギによるモデルに関しては同様の手技で活性の高い細胞が得られず、現在条件を検討中である。
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