研究概要 |
臨床的には膵臓癌は、後腹膜リンパ節、肝臓に転移しやすいことが知られている。またヒトリンパ球はインテグリンレセプターα3β1、α4β1、α5β1を発現していることが明らかになっている。このためまず我々はMAbJT-95とreactivityを持つ膵臓癌細胞株(PA-3;シアル酸化ファイブロネクチンを発現している細胞株)とreactivityを持たない膵臓癌細胞株(PA-2;シアル酸化ファイブロネクチンを発現していない細胞株)をMAbJT-95による細胞染色で選択した。この2群の細胞株に正常ヒトリンパ球をいれ混合培養した。混合培養後、これら2群の癌細胞とヒトリンパ球との接着の有無、接着した細胞の比率をそれぞれimmunoprecipitation,Western blotting,flowcytometry法を使用し現在検討している。 次にこれら2群の癌細胞株をあらかじめインテグリンレセプターのantagonistのひとつであるRGD analogで処理し、ヒトリンパ球をいれ混合培養した。この処理により癌細胞とヒトリンパ球との接着能にinhibitionがかかるかどうかを2群間で比較検討した結果、PA-2にはinhibitionがかからなかったが、PA-3にはinhibitionがかかることが解った。同様にあらかじめMAbJT-95で2群の癌細胞株を処理後ヒトリンパ球をいれ接着能にinhibitionがかかるかどうかも現在比較検討中である。 この実験によりMAbJT-95が認識しているシアル酸化ファイブロネクチンが膵臓癌細胞と後腹膜リンパ筋などの主要成分である正常ヒトリンパ球との接着能(転移)に関与しているかどうかを検討できると考えている。
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