urokinase plasminogen activator(uPA)は乳癌患者における予後のマーカーとして広く調べられており、その活性度が高いほどdisease free survivalおよびoverall survivalが短くなる。 本研究では、腫瘍のuPA発現と浸潤転移能との関連を基礎的に調べることを目的とする。 平成9年度予定として乳癌細胞株へのuPAのトランスフェクトおよびscid nouseへの投与によるin vivoの実験を計画した。 1)ベクターの作成 CAGプロモーターを組み込んだ組み換えウイルス作製用汎用カセットpAdxlCAwtを用いてuPAのcDNAをアデノウイルスベクターに組み込む。 2)乳癌細胞株へのuPA遺伝子の導入 1)で作製したアデノウイルスベクターを乳癌培養細胞に感染させる。数日の経過でuPA活性を測定する。 3)uPAの高活性を示す細胞を選択し、scid mouse腹腔内に投与し、数日〜数週の経過で腫瘍の発育状態を見る。コントロールと比較し、腫瘍の局所増殖および遠隔転移の度合がどの程度違うかを検討する。 現在、乳癌細胞株へのuPAのトランスフェクト実験として以下の計画をすすめている。 1)基礎的手技の習得 乳癌細胞株MCF7、トランスフェクションに使用する293細胞の取扱に習熟するためこれらの細胞の継代培養を行い手技を確立する。 2)uPA cDNAの選択 ヒトクローン化されたもののほかにPig、Chickenのcomplete geneが存在するため、どの種類を用いるか選択する。 3)ベクターの作成 CAGプロモーターを組み込んだ組み換えウイルス作製用汎用カセットpAdxlCAwtを用いてuPAのcDNAをアデノウイルスベクターに組み込む。このコスミドカセットを用いて目的とする組換え体を作製中であるが、現在まだ完全な組換え体を得られていない。
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