研究概要 |
本研究の目的はプロテアーゼの中でも癌の浸潤、転移に関係の深いと思われるurokinase plasminogen activator(uPA)と乳癌との関連を基礎的にuPAを乳癌細胞に強制発現させ、その細胞の浸潤転移能の違いを検討することである。 まず、ヒトuPAのfull-length cDNAのクローニングに関してはuPAタンパク中の選択的なペプチドをコードするoligonucleotide5個を化学的に作成した。オリゴマーは^<32>PATPとT4polynucleotide kinaseでラベルし、イオン交換クロマトグラフィーで精製した。 二本鎖DNAとバクテリオファージλgt10でのcDNA作成を行ったが、この際有効なクローンが得られず、これにuPAの発現実験につなげることができなかった。 基礎実験として、乳癌細胞株やトランスフェクションに使用する293細胞の継代培養を行い、基礎的手技を確立した。これとともに乳癌細胞株の性質を検討するため、各種乳癌細胞株(MCF-7,SKBr3,Au565,MDA-MB-468,MDA-MB-361)をヌードマウス腹腔内に注入し(5×10^6cell/mouse)明らかな腹膜播種はみられなかった。現在クローン化されたuPAを入手し、pAdCMV(S)-BGHpAを使用してトランスフェクト実験を行っている。
|