研究概要 |
平成9年度 保存中の臓器傷害の軽減および移植後のより早い代謝の回復という観点から、氷温域における、肝保存の至適条件を求めるべく以下の実験を施行した。 1)氷温庫を制作し、0度以下-5度までの庫内温度変化の基礎データをとり、氷温状態をおこすための基礎データを得た。実際に用いる保存液の、氷温庫内の温度変化を、庫内温度変化の変化と比較し、controlとした。 2)ラットより摘出した肝臓を氷温庫に保存し、肝臓実質内の温度変化を電極をもちいて経時的に測定し、保存肝が氷温状態となるまでの温度変化、また、移植前の氷温状態からの離脱における温度変化の基礎データをとり、温度設定のプログラムを作成した。 3)保存中の組織内糖代謝(グリコーゲン量)、エネルギー状態(ATP,ADP,AMP)を高速液体クロマトグラフィー.分光学的方法をもちいて測定した。 これらのデータにより、保存中の肝の状態は、これまでの方法よりもエネルギーの損失が抑えられることが判明した。今後更に、生化学的データを集め、来年度は、実際に移植実験に移る予定である。
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