臓器移植において、ドナー臓器保存法の開発、改良は重要な問題であり、本研究においては、未開拓の臓器保存法である氷温域での臓器保存効巣について検討した。 まず、プログラムフリーザーを用いて、摘出臓器を段階的に凍結保存し、これを解凍した後のviabilityを、NMR及びcytospinを用いた方法により検討した。実験には、ラット肝臓、腎臓及びブタ肝臓、腎臓を用いた。各臓器は、心停止直後に摘出し、細片に切断し、RMPI1640にて一時的に保存した。次に、ウシ胎児血清およびDMSOからなる凍結保存液に移し、プログラムフリーザーを用いて凍結し、その後窒素冷凍機で保存した。対象として、プログラムフリーザーを用いず、直接窒素冷凍機に凍結したものを用いた。窒素冷凍機に2週間保存後、10%ウシ胎児血清を含むDMEMを用いて培養し、実験に用いた。NMRを用いた細胞内ATPから検討した保存状態は、コントロール群、実験群で差を認めなかった。サイトスピンを用いた形態学的検討では、コントロール群に比し、実験群において核、及び細胞質の保存が良好であった。 本年度の実験結果から、プログラムフリーザーを用いた臓器凍結の有効性が示唆された。
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