研究概要 |
平成9年度の研究計画にもとづいて同種皮弁移植の実験モデルの作成を行った。 ドナーを近交系Fishcerラット、レシピエントを近交系Lewisラットとして、群:同種皮弁移植をおこなった(n=6)。腹部より血管吻合を介して移植された遊離島状皮弁は4×1,5×3,6×2で平均5.2日後に拒絶による壊死に陥った。拒絶反応の肉眼的な経過は、先ず移植皮弁の近位(血管茎に近い部分)から中央に発赤と浮腫が出現しその後約24時間で急激に皮弁全体に拡大し、すみやかに黒色に変化し壊死に陥るものであった。生着期間の平均5.2日は他家の報告によるラット心臓移植の平均11日、同じくラット肝臓移植の平均9日に比べて短く、皮膚の免疫の強さが示唆された。 ついで群:同種皮弁移植+FTY720投与を行った。FTY720のリンパ球抑制作用は3h後にピークを迎え、3日後から弱まり14日後にはほぼ消失するとされている。本研究ではFTY720を術前-1日および術後3日目に5mg/kgで経口投与した(n=3)。結果は9,11,14で平均11.3日と群に比べて2倍以上の生着延長を認めたが、nが未だ少数であるため現時点では妥当な数値であるか否かは確定されない。前述の他家の報告では同量のFTY720を投与した場合の生着期間は心臓移植で平均14日、肝臓移植で平均23日であった。拒絶反応の肉眼的な経過は群とほぼ同様であった。現在、組織学的検索に続いて平成10年度の研究計画にもとづいて群:同種皮弁移植+FTY720投与+Sulufatide+抗ラットLFA-1mAb+抗ICAM-1mAb投与の実験を開始している。
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