研究概要 |
ヒト大腸癌細胞株KM12cから,6種類のCD44cDNAをクローニングすることに成功した(CD44H、CD44v8-9、CD44v8-10、CD44v3,8-10、CD44v6-10,CD44v3-10)。なかでも最も強く発現しているのは、CD44v8-10であった。CD44v8-10および最も大きなsplicingをもつCD44v3-10を、発現プラスミドpRc/CMVに組み込み、リポフェクション法により、CD44低発現株であるClone Aにトランスフェクトし、それぞれの変異体の高発現クローン(Clone Av8-10およびClone Av3-10)を作製した。トランスフェクタントの4型コラーゲン、ラミニン、ヒアルロン酸などへの接着性をin vitroで検討したところ、Clone Av8-10は接着性に変化はみられなかった。Clone Av3-10はラミニン、コラーゲンに対する接着に有意な変化はみられなかったが、ヒアルロン酸に対する接着は、親株およびClone A NEO(コントロールトランスフェクタント)と比較して有意に増大し、またこの接着は抗CD44抗体によって有意に阻害された。以上よりCD44v3-10は大腸癌細胞のヒアルロン酸との接着に関与することが示唆された。in vivoでの増殖能は、Clone Av8-10, Clone Av3-10ともに、コントロールよりも減弱していた。またin vivoでの転移能に変化は認められなかった。 現在、CD44高発現細胞株であるCX-1およびCCL188に、CD44v3-10 antisense cDNAを導入し、CD44低発現クローンを作製中である。
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