研究概要 |
ヒト食道癌培養細胞(T.Tn)をヌードマウスの背部皮下に移植した皮下腫瘍モデルを作成、接種14日後、皮下腫瘍が直径約1cmに増殖した時点でブレオマイシン、ネダプラチンを膝腔内に投与し、投与30分後、エーテル麻酔下にin vivo電気穿孔器にて通電を行った。また、抗癌剤投与のみの群、電気穿孔のみ施工した群、対照群の4群にてその後の腫瘍増殖を比較した。対照群、電気穿孔のみの群では増殖が抑制されず、抗癌剤投与のみの群ではやや増殖抑制効果を認めたのに対し、抗癌剤腹腔内投与後電気穿孔施行例では1回の施行で増殖は著明に抑制されたのを確認した(p<0.01)。さらに抗癌剤投与し電気穿孔施行1時間後に腫瘍を摘出し、電気穿孔の有無によるネダプラチンの腫瘍内濃度を測定した。電気穿孔群で有意に腫瘍内濃度が増加していることを確認した。 ウイルスベクターを用いずにLacZ遺伝子を組み込んだプラスミドによりin vivo電気穿孔法での腫瘍内への遺伝子導入及び至適DNA量(25μg)を確認した。P53cDNAを電気穿孔法により皮下腫瘍に導入、腫瘍増殖は対照群に比し有意に抑制された(p<0.05)。単独では増殖抑制効果を認めない量のネダプラチン併用によりその抑制効果は著明に増強した(p<0.01)。また、癌の全身療法としてサイト力イン遺伝子IL-2,GM-CSFcDMA8in vivo電気穿孔法によりそれぞれ皮下腫瘍に導入した群においても増殖は著明に抑制され、生存の延長を確認した。(現在、p53遺伝子とサイトカイン遺伝子の2編の論文準備中。) マウスモデルでは抗癌剤を併用したp53遺伝子、サイト力イン遺伝子とともに十分な抗腫瘍効果を確認できたため、今後内視鏡下あるいは鏡視下手術で施行可能な臨床応用電極を開発し、切除不能癌に対する実際の臨床応用を進めていく予定である。(次年度科学研究費補助金の申請中である。)
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