研究概要 |
胃癌細胞をモデルとして,抗癌剤によるアポトーシス誘導機序を解析し,誘導因子を標的とした新しい癌化学療法の開発を目的にし,平成9年度に記載された実験計画書により得られた知見は以下の通りである.(1)胃癌細胞株に対する新規抗癌剤Taxotere処理による転写因子AP-1の活性化は,用量,時間依存性であり,抗癌剤感受性及びDNAの断片化によるアポトーシス誘導度に相関がみられた.(2)胃癌細胞株におけるアポトーシスの誘導は,p53の遺伝子型に関連は認めらず,p53非依存性に誘導されるAP-1活性化に相関性が認められた.(3)AP-1活性化は,還元剤との併用により増加し,アポトーシスの誘導が増強された.(4)AP-1関連遺伝子gadd153およびp21^<WAF1>の発現量はアポトーシス誘導と相関性がみられた,(5)胃癌細胞株へのgadd153の遺伝子導入は,AP-1依存性抗癌剤CDDP,VP-16に対してアポトーシスの誘導増強,感受性の増加が認められた.現在,引き続き,多の抗癌剤感受性規定因子およびアポトーシス誘導関連遺伝子との関連について研究を進ていめる.
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