研究概要 |
1,コラーゲンゲル内立体培養による胆嚢粘膜上皮細胞の嚢胞形成には,小胞体からトランスゴルジネットワークを介した細胞表面への分泌小胞,即ち極性を持ったVAC(vacuolar apical component)のエキソサイトーシスによる細胞表面への輸送と融合により,細胞全体としての極性を獲得し嚢胞を形成する過程が観察される. これまでにEGFやHGFやEpimorphinをはじめとした各種ペプチド成長因子や線維芽細胞培養上清により,VAC(vacuolar apical component)エキソサイトーシスを通じて嚢胞形成能やその増殖活性が促進されることをBrdU免疫染色および電子顕微鏡的に評価してきた.また,この調節機構にはAdherence junction,Tight junction,Desmosomeなどの細胞間接着および細胞基質間接着が密接に関係してることが推測され,これらの接着分子であるCadherinなとの接着分子の免疫染色を行っているが,現在市販の抗体はcross reactionしないため,電子顕微鏡にて接着装置の解析を進めている. 2,TGF-b1によるMesenchyme-Like Transdedifferentiation multifunctional cytokineであるTGF-b1を添加すると胆嚢粘膜上皮細胞(コラーゲンゲル培養)は,全く異なった極性を喪失した分枝形態をとることが判明し,この作用はEGFによって増強され2週間後にはネットワーク構造をとってくる.この変化は上皮細胞の嚢胞管腔形成を抑制しており,Mesenchyme-Like Transdedifferentiationと考えられる.現在この形態の相異を,免疫組織学的,超微構造的に解析中である.
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