抗CD44モノクローナル抗体封入リピッドマイクロスフェア-(抗CD44-LMS)を安定な剤型として開発し、動物実験でとの組織移行性を検討した。 マイクロスフェア-のマトリックスとして、吸収性縫合系などの医療材料として用いられているポリ乳酸系高分子であるグリコール酸乳酸重合体(PGLA)を用いた。PGLA中のグリコール酸と乳酸の組成比はモル比で25:75とした。調製は、水溶性薬剤は脂溶性薬剤と比較してマイクロスフェア-中のトラップ率が低いため抗CD44モノクローナル抗体の原末をジメチルホルムアミドに溶解させたものを用いた。 作成したマイクロスフェア-をSEMで検索したところ、抗CD44-LMSは表面に孔のない平滑な球体で内部に大きな腔を有している。この内腔の壁に抗CD44モノクローナル抗体が針状結晶として付着しているのが認められた。また、X線モードにて酸性フタル酸ルビジウム結晶にて抗CD44モノクローナル抗体を面分析したところ抗CD44モノクローナル抗体がリング状にほぼ均一に分布していた。薬剤の徐放性を検討したことろ、2時間後の初期バーストは21%で、その後徐々に溶出し2週間で95%が溶出した。 薬剤の安定性は、エチレンオキサイドガスによる滅菌では、薬剤の溶出性にほとんど変化を認めなかった。また、3ヵ月の保存においては、保存後の薬剤が10%程度溶出が速くなり、総溶出量も5%増加した。 動物実験では、抗CD44-LMSは大網、gonadal fat、腸間膜の順に分布が多く、癌細胞を腹腔内移植した際の着床部位とよく相関していた。
|