研究概要 |
門脈内持続投与モデルの作製を目的として以下の実験を行った. 体重250g前後のWistar系ラットに対して静脈麻酔下に開腹,Higgins&Andersonの方法に従って70%肝切除を施行した.上腸間膜静脈末梢枝に2ml浸透圧ポンプと接続したカテーテルを挿入,ポンプは腹腔内に留置した.基礎実験であり,HGF投与は行わずPBS(0.2%bovine serum albmin 加 sodium-phosphate buffered saline)のみ2mlをポンプに充填した.閉腹し自由摂食とした.30時間後に静脈麻酔下に再開腹,肝臓の状況とカテーテルの開通状況等を調査した. 今回の実験ではラットに肝膿瘍や壊死は生じなかった.カテーテルの開通状況については実験開始当初には閉塞を生じたがカニュレーション部位の選定とカテーテルを直線化して留置することにより閉塞の発生は減少した.肝再生の評価として肝重量,肝組織中の蛋白含有量およびDNA含有量,血中HGF濃度を測定,肝細胞中のc-fos,c-myc,c-junの発現,肝組織PCNA染色陽性率をを調べた.これらの値はコントロール値として用いる予定である. 今後は今回の実験で作製した同モデルを用いて門脈内HGF持続投与(HGF 1μg/kg,4μg/kg,8μg/kgの3群を設定)を施行,その肝再生に及ぼす効果を検討する予定である.
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