磁気細胞分離装置を使用して血液中の上皮細胞を分離し免疫組織学的に癌細胞を検出した。一部の症例においてRT-PCR法を用いてCytokeratin19のmRNAの検出を行い比較検討した。基礎実験として正常人6人の末梢血およびそれぞれに培養癌細胞を混入して検出を試みたところ正常血では検出されず、培養癌細胞混入したサンプルで検出された。つぎに臨床例での検討を大腸癌患者35例、食道癌患者38例、肝細胞癌患者16例を対象としておこなった。サンプルは動脈または中心静脈のラインより血液10ml採血、また大腸癌患者では手術中腸間膜静脈にカニュレーションし血液10mlを採取した。磁気細胞分離装置は2種類使用しDynabeads anti-epithelial cellはビーズ表面にBer-EP4という抗上皮細胞抗体がコートされており大腸癌・食道癌患者の血液に使用した。Cytospinで塗抹後、大腸癌に関しては抗CEA抗体で染色また食道癌に関しては抗Cytokeratin抗体で染色し癌細胞を同定した。一方肝細胞癌患者の血液については肝癌細胞のすべてがBer-EP4と反応しないため、Cytokeratin8/18をコートしたMagnetic Cell Sorter(MACS)のCarcinoma cellエンリッチメントキットを使用したAFPで免疫染色し癌細胞を同定した。結果は大腸癌患者35例の腸間膜静脈血中癌細胞が検出された症例は13例(37%)で末梢血は28例中6例(21%)であり、そのうち肝転移例5例は腸間膜静脈および末梢血いずれかで陽性(4例)であった。食道癌患者は11例(29%)また肝細胞癌患者は5例(31%)で癌細胞が検出された。食道癌患者10例において本法とともにRT-PCR法でCytokeratin19のmRNAを検出を検索し結果は8例で一致していた。今後RT-PCR法での症例を重ねまた手術または化学療法後での検討などを行う予定である。
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