研究概要 |
2年前、TNFの副作用を軽減して癌治療への応用を期待すべく、TNFによるapoptosisを抑制するNOに対する阻害薬であるL-NAMEを併用してその効果について検討した。その結果、Ehelich腹水癌細胞に対して、TNF単独投与よりも、iNOS阻害薬併用によりTNF投与量を軽減することが可能であった。そこでinvivoにおいても同様の効果が認められるのかを前年度に検討したが、至適投与量が明確でなく十分な効果が認められなかった。本年度は更なる至適投与量の検討を行った。 1) 体重20gのBALG/c miceに3×10^5,5×10^5,7×10^5癌細胞を腹腔内投与し、その生存率を検討したところ、3×-10^5の死亡率は25%、5×10^5の死亡率は55%であり、7×10^5は平均4日で100%死亡するため、7×10^5にて本検討を行った。 2) 体内埋め込み型ミニポンプにてin vivo下に本効果について検討した。TNF 10,100,1000ng/mlTNOS阻害薬であるL-NAMEを100、200μg/mlを量的に互いにクロスさせながら投与し、その生存率を検討したところ、TNF100ng/ml,iNOs阻害薬100μg/mlにて有意に生存率が改善された。 3) 副作用としては肝機能の軽度の悪化、白血球上昇を認めるも、致死的副作用は認められなかった。 4) iNOS阻害薬をTNFとともに癌治療に応用すれば、TNFの副作用を軽減して癌治療に有効であると考えられる。
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