研究概要 |
1.種々のモノクローナル抗体投与による移植心生着期間 C57BL/10マウスをドナー、C3Hマウスをレシピエントとして腹腔内に異所性に心移植をおこなった。モノクローナル抗体投与は,1)抗αβ-T cell receptorモノクローナル抗体(100μgを移植当日、1、2日後に投与)、2)抗CD4モノクローナル抗体(50μgを移植前日、当日に投与)、3)抗CD80とCD86モノクローナル抗体(各25μgを移植当日、1、2、3日後に投与)の3種類を行った。1)および3)では全ての移植心が100日以上生着したが、2)では60%が100日以上生着した。 2.トレランス導入の確認と深度の評価 A.皮膚移植によるトレランス導入の確認;心移植後100日目に心移植のドナーであるC57BL/10とThird partyであるBALB/cの皮膚を移植した。BALB/cの皮膚は1),2),3)とも10日程度で拒絶された。C57BL/10の皮膚は1),3)では全例100日以上生着したが、2)では50%が100日以上生着した。 B.Adoptive transferによるトレランス深度の評価;種々のモノクローナル抗体投与により移植心が100日以上生着したレシピエントから、脾細胞を採取し、2x10^6個を移植前日に静脈内投与し、心移植を行った。1),3)ではC57BL/10の移植心は全例100日以上生着したが、2)では全例が拒絶された。以上の結果より、抗αβ-T cell receptorモノクロナール抗体および抗CD80とCD86モノクローナル抗体投与ではトレランスに導入されることが判明したが、抗CD4モノクローナル抗体では完全にはトレランスには導入されていなかった。今後、抗αβ-T cell receptorモノクローナル抗体および抗CD80とCD86モノクローナル抗体投与においてTH2/TH1の経時的変化と移植心の冠動脈変化について検討を行う予定である。
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