研究概要 |
肺癌切除症例における種々の癌関連遺伝子の発現について検討した。 I. Pl-DNAプローブを用いたFluorescent in-situ Hybridizationによる遺伝子コピー数の検討 (1) FGR(lp36):中分化型腺癌例で1核あたり6つのシグナルを認め、遺伝子コピー数の増加あるいは染色体の3倍体への変化が示唆された。 (2) PKR/MSH2(2p22):複数の腺癌例で無数のシグナルを認め、遺伝子コピー数の増加が示唆された。 (3) APC/MCC(5q14-23)、c-MYC(8q23-24):シグナル数に変化は認めなかった。 (4) BRCA1(13q13)、Rb1(13q14):大細胞癌例で遺伝子欠失が示唆された。 (5) E-cadherin(16q22):中分化型腺癌例で遺伝子欠失が示唆された。 (6) Topoisomerase-I(20q12):転移性肺癌例で1核あたり10以上のシグナルを示し、遺伝子コピー数の増加が示唆された。新しい抗癌剤topoisomerase-I inhibitorの感受性を示す指標としてFISH法が有用である可能性が示された。 II. Iで変異の認められた遺伝子に対するゲノム不安定性の検討、構造遺伝子変異の検討 (1) FGR:FGRの遺伝子座:1p36近傍のゲノム不安定性をマイクロサテライトDNAマーカーD1S496によるPCR分析で検討した。腫瘍からの抽出DNA,はコントロールと同様分子量210bpで変異は認めなかった。 (2) E-cadherin:E-cadherin全体の構造遺伝子をプロモーター及び16のエクソンに分け、各々PCRプライマーを作成し、肺癌細胞株についての構造上の欠失と点突然変異の検討を始めた。
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