研究概要 |
初年度は,まず第一に,言語刺激を構成する要素である音節刺激による誘発磁界を計測した.これによって出現するN100m反応の潜時は,音節の種類によらずほぼ一定範囲内における潜時と振幅を持つことが確認された.これをもとに,音節を組み合わせた単語刺激等を現在構築中である. 第二に,視覚刺激を用いた短い文章を構築し,意味のある文を提示した時の誘発磁界,意味を持たない文字群による誘発磁界,さらに読解不能な外国語文字群による誘発磁界を計測した.その結果,前者2群において刺激提示約400msにN400m反応と推定される誘発反応が計測できた.有意味文,無意味文のいずれの刺激でも,両側性の反応であったが,左半球の信号が右半球に対して振幅で大きく,言語に関連した反応と推測された.しかしながら,現時点では,意味文と無意味文の明確な識別や,詳細な信号源については確定できず,次年度への課題として持ち越された. これとは別に,アミタールテストや右半球損傷による交叉性失語から,右半球に言語野を有する事が判明した症例において,純音刺激聴覚誘発磁界を計測したところ,右利き健常被験者と同様に,右半球反応の潜時が短い傾向にある事が判明した.聴覚誘発反応の半球間較差が,言語優位側非優位側とは直接関係のないことが新たに示された.
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