研究概要 |
現在までの我々の臨床研究により、一回大量照射(radiosurgery)後に高率に症候性てんかんが軽快あるいは消失し、器質性病変周囲脳のてんかん原性自体が治療的効果を受ける事が確認され,神経細胞が壊死に陥る事なしに機能的に抑制を受けた可能性が示唆されている.そこで部分てんかんのモデルとしてラット扁桃核キンドリングモデル,および全般性てんかんのモデルであるELマウス及びNER(Noda epileptic rat)に対する一回大量照射の効果に関する基礎実験を開始した.現在までの観察で20-25Gyの一回大量照射により,NERの一部で発作頻度の軽快が照射数ヶ月後より確認されているが,ELマウスでは発作頻度の軽快は認められていない.またキンドリングモデルでは,安定したモデルの作成に手間取りいまだ照射の評価には至っていない.平成10年後は引き続き各モデルの発作頻度を経時的に観察するとともに,発作頻度の軽快が確認された線量での神経細胞のストレス応答をHSP70を指標として検索し,そのタンパクレベルでの発現の程度、部位および時間的経過を神経細胞死を引き起こす高線量や発作誘発閾値に影響を与えない低線量と比較検討する予定である.
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