研究概要 |
神経膠茅腫の発生に関わる遺伝子群の異常に関して、約100例の神経膠芽腫について癌抑制遺伝子であるp15,p16,p19,p53,また癌遺伝子であるEGFRの状態を研究中である。腫瘍標本よりDNAを抽出し、各遺伝子の変異をPCRをベ一スにした多形解析、SSCP解析、オートシークエンサーを用いた塩基配列の決定などによって検討した。 その結果の一部として神経膠芽腫においてはp16の相同的欠失とEGFRの増幅が密接に関連していることを突きとめた。すなわち神経膠芽腫においてEGFRの増幅のある群では有意にp16の相同的欠失が認められた。このことはp16の相同的欠失が遺伝子の不安定性を増加させ、結果的にはEGFRの増幅を引き超こす可能性があることを示唆する。これによりある腫の神経膠芽腫は増殖能が更に高まり、癌細胞の性質を有すると考えらる。またp53遺伝子の変異はp16,EGFRの異常と逆相関することも確認された。このことは従来p53遺伝子異常を有する神経膠芽腫が若年者に多く比較的予後がいいということに対する一部の説明になると考えられた。現在さらにp15,p19との関連性を検討中である。
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