水頭症マウスを用いて定位脳手術にて脳室穿刺し、注入、髄液採取を行ったが、小さいため再現性がなく、確実性に欠けるため、まず同様の方法にて水頭症ラットを作成した。 1.生後10日のラット(フィッシャー)を用いて、マウスの場合と同様に右側頭部の硬膜下にTGF-β1を注入し、6週間後に断頭し、脳室を観察した。この方法では明らかな脳室拡大は認められず、また穿刺部に孔脳症が出現したため中止した。 2.次にラットの頭部を固定し定位脳手術にて脳室穿刺、TGF-β1を注入した。先にインクを用いた実験にてこの方法にて正確に脳室内に注入できる位置を計測し、その位置にてTGF-β1を注入した。ラットはSD、フィッシャー、ウィスターの3種類を用いてTGF-β1を500ng注入し、6週間後に断頭した。この方法で脳室は軽度拡大し、脳室穿刺の際に髄液の拍動が観察できることがあった。しかしながら明らかな脳室拡大は得られなかった。 上記2の方法にて最も脳室拡大の認めたウィスターを用いて、脳室内へのTGF-β1の2度打ちを行った。500ngを1週間あけて2度定位脳手術にて脳室内へ注入した。この方法にて著明な脳室拡大のラットを認めたが再現性が悪く、現在次の方法にて確実性の向上を試している。 マイクロ浸透圧ポンプを皮下に埋め込み、TGF-β1を持続的に脳室内に注入する。この方法にて現在行っている。この水頭症ラットを用いて実験を継続している。
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