in vivo実験系ではまず全身麻酔下にてadult S-Dラットの右総頚動脈より糸を挿入しMCA閉塞モデルを作製した。6時間の虚血の後、両側の海馬を摘出し、凍結保存してサンプルとした。PLDのmRNAの発現量を確認するため、Isogenにて全RNAの抽出を行った。これをまずReverse TranscriptaseでcDNAとした後にPCRを行った。PLDのmRNA発現は、虚血側では若干の増加を来していることが確認された。このためPLDisozymeを分離できるprimerを作製しisozymeごとの発現量を検討している。また同サンプルを用いて膜画分、細胞質画分の抗体を用いた蛋白質の発現量の確認を急いでいる。 次にin vitroの系では、培養細胞に低酸素負荷を加え神経細胞死を誘導するため、まず基礎実験として今回購入したマルチガスインキュベータ-で神経細胞のモデルとして用いられるPC12細胞を2%FBSで培養し、種々の濃度の低酸素を負荷した。その結果、1%の低酸素負荷によって十分な細胞死誘導が得られることが分かり、LDHassayおよびHoechst33258 & Propidium Iodideの二重染色で定量化した。この結果、細胞死は24時間ごろから徐々に増加し、72時間までにほぼ100%の細胞死が誘導出来ることが確認された。しかもアポトーシスの比率の方がネクローシスの比率よりも多いことが確認された。まずPLDを抑制するとされるセラミドの定量を行ったところ、この低酸素負荷で大きく増加することが確認されたためPLD mRNAの発現量をRT-PCRにて確認中である。 以上の結果を元にPLDisozymeのischemiaおよび低酸素による発現変化を確認しアンチセンスの投与を含めた解析によって今後のPLDの役割を明らかにしていく予定である。
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